鶯谷書院

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江戸前期収録

『鍼道秘訣集』

メモ

奥田意伯著
全2巻
貞享2年(1685)刊
安永2年(1773)年版もある
『針灸典籍大系』・『針灸典籍集成』に影印収録
京都大学貴重資料デジタルアーカイブで画像公開あり

 初代意伯は、御薗意斉(1557~1616)の弟子。本書は、その流儀書。
   初代:奥田意伯
  2代:尊直(たかなお)
  3代:意伯

参考

 御薗意斉は、打診を開発した夢分斉の弟子で、本書はその打診のやり方が詳しく書かれている。打診流はながらく本書のみだったが、最近『意仲玄奥』が出てきたり、御薗意斎の息子の名前を使っている『鍼法秘伝鈔』がでたり、そのほかいろいろなものが出ています。
 打診は簡単そうだが、開発者が禅僧であることから、一定の難しさがあります。打診のやりかたは(禅宗と関わりなく)復活していますから、禅宗と切り離しても良いかもしれませんが、難しいところを避けて、ただの技術に落とし込んだのでは、醍醐味に乏しいと思っています。
 本書の解説は、藤本蓮風のものがあります(綠書房)。部分的ですが、「心持之大事」「三之清浄」のところは、拙稿に解説があります(『医道の日本』2020年1月号・2月号)。
 『古今腹診論』(原田無関口述・加藤知義筆記、文化3年序。京大富士川文庫蔵コ/33)に、「彼の秘結集に顕はす処の図絵、齟齬あるは是道を秘せんか為なるべし、尚委しき事は相伝及び教外別伝を得ずんば、知れ難し」と、『鍼道秘訣集』の図に問題がありという指摘は、知って置いたほうが良い。
 また山崎陽子「『鍼法秘伝鈔』について」(第114回日本医史学会紙上発表)も参考にしてください。

目次

上巻
〔一〕 当流他流之異
〔二〕 当流臓腑の弁、并図
〔三〕 心持之大事
〔四〕 三之清浄
〔五〕 四之脈大事
〔六〕 火拽之鍼
〔七〕 勝纍之鍼
〔八〕 負曳之鍼
〔九〕 相引之鍼
〔十〕 止鍼
〔十一〕胃快之鍼
〔十二〕散鍼
〔十三〕鍼不抜抜大事
〔十四〕鍼痛
〔十五〕知必死病者習
〔十六〕吐鍼
〔十七〕瀉鍼、并図
〔十八〕車輪之法
下巻
〔十九〕 実之虚、并図
〔二十〕 虚之実
〔二十一〕実実
〔二十二〕虚虚
〔二十三〕知寒気事
〔二十四〕知腫気之来事、并図
〔二十五〕瘧之観分、并図
〔二十六〕膈之鍼、并図
〔二十七〕中風鍼之大事
〔二十八〕亡心之鍼
〔二十九〕丹毒之鍼、并図
〔三十〕 驚風之鍼、并図
〔三十一〕疳之鍼
〔三十二〕瘧母之鍼
〔三十三〕一之鍼
〔三十四〕胃気有無之大事
〔三十五〕三焦腑之大事
〔三十六〕補瀉之大事
〔三十七〕懐妊血塊観分之大事
〔三十八〕胎前鍼大事
〔三十九〕産後鍼之大事
〔四十〕 野狐之鍼之大事

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